【解説】地域支援体制加算の算定要件|基準調剤加算との違いとポイント整理

基準調剤加算の廃止に伴い新設される「地域支援体制加算」の現在の情報をまとめました。

今回は、基本料1を算定しているかどうかで算定のハードルが大きく変わります。かかりつけ関連の業務が含まれることになり、実績が緩和されました。

改定の最新情報は「2018調剤報酬改定まとめ|点数の比較と算定要件・施設基準のポイント整理」の記事でまとめています。

※2月7日、「個別改定項目について」の情報を追加しました。

※3月5日、「平成30年度診療報酬改定の概要」の情報を追加しました。

算定要件

地域支援体制加算の新設

3月5日 平成30年度診療報酬改定の概要より

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、地域支援体制加算として所定点数に35点を加算する。

施設基準

(1) 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。(※)

(2) 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。

(3) 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供していること

(4) 一定時間以上開局していること。

(5) 十分な数の医薬品を備蓄していること。

(6) 適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること。

(7) 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、24 時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。

(8) 当該地域において、在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。

(9) 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制が整備されていること。

(10) 当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。

(11) 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が5割以上であること。

必要な実績

調剤基本料1の場合

(12) 区分番号00 の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局については、下記の基準を全て満たすこととし、(1)を適用しない。

  1. 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
  2. 在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
  3. かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。

調剤基本料1以外の場合

地域支援体制加算の実績要件

3月5日 平成30年度診療報酬改定の概要より

※地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績の基準
1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。

  1. 夜間・休日等の対応実績400回
  2. 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績40回(※)
  3. 服用薬剤調整支援料の実績1回(※)
  4. 単一建物診療患者が1 人の場合の在宅薬剤管理の実績12回
  5. 服薬情報等提供料の実績60回(※)
  6. 麻薬指導管理加算の実績10回(※)
  7. かかりつけ薬剤師指導料等の実績40回
  8. 外来服薬支援料の実績12回(※)
※かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、これに相当する業務を実施した場合を含む。「日経DIの記事」で解説されています。

その他の要件

地域支援体制加算 その他の要件

3月5日 平成30年度診療報酬改定の概要より

前年1年間(1月1日~12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を提供した実績を有し、薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例
の把握・収集に関する取組の有無」を「有」としていること。経過措置:平成31年4月以降適用

副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を有していること。経過措置:平成30年10月以降適用

24時間調剤に下線がひかれています。

プレアボイドについて

プレアボイド

12.8 調剤報酬(その2)より

医療従事者との情報の共有に関しては「薬局機能に関する情報の報告及び公表にあたっての留意点について」で示されています。

  • 薬学的患者ケアを実践して患者の不利益(副作用、相互作用、治療効果不十分など)を回避あるいは軽減した事例をプレアボイドと称して報告を収集し、共有する取組
  • 疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告

参考)調剤報酬(その2)

基準調剤加算との比較

追加された項目

地域支援体制加算に新しく追加された主な項目です。(実績以外)

  • 在宅診療所や病院、訪問介護ステーションとの連携体制の整備
  • 他の保健医療サービス、福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制の整備
  • 他の医療従事者との情報の共有の整備と一定の実績
  • 集中率が高い薬局は後発率により足切りあり

記載されていない項目

現時点で地域支援体制加算に記載されていない主な項目です。

  • OTCの販売
  • 医療材料、衛生材料を供給できる体制
  • 健康相談、健康教室

今後の別添やQ&Aで公開されるかもしれません。(追加されました)

疑義解釈その1

問10 地域支援体制加算が新設され、基準調剤加算が廃止されたが、両加算で共通する施設基準については、その取り扱いに変更はないと解してよいか。また、平成30 年3月31 日において現に基準調剤加算を算定している保険薬局が、4月以降に地域支援体制加算を算定するため4月16 日までに施設基準の届出を行う場合、基準調剤加算の施設基準と同一の要件であっても改めて関係書類を添付する必要があるか。

(答)変更ないものとして取り扱ってよい。また、改定前の基準調剤加算届出時の添付書類と内容に変更を生じていないものについては、改めて同じ書類を添付しなくても差し支えない。

問11 地域支援体制加算の地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績のうち、(ト)の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の単一建物診療患者が1人の場合の算定回数について、改定前の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の同一建物居住者以外の場合の算定回数を含めてよいか。

(答)届出前の直近1年間に実施したものは含めて差し支えない。

最後に

基本料1の薬局は24時間調剤及び在宅業務に対応できる体制に係る周知がネックでしょうか。

処方が限定された門前薬局など、プレアボイドが厳しい薬局もあるかもしれません。

基本料2、3の薬局は次元の違うハードルの高さです。

また情報が入り次第更新します。

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